以下は、米軍負傷兵を治療している米国外科医のレポートから抜粋した参考資料です。

毎週火曜日、米国国防総省は「イラクの自由作戦」と「不朽の自由作戦」における米兵の死傷者を報告しています。
この報告によると2004年11月16日の時点で、1万726人が戦傷しています。この内、1361人が死亡、5174人が任務に復帰できず、4191人が72時間以内に任務に復帰しました。
イラク、アフガニスタン、あるいはアメリカの民間人で負傷した人数で信頼できる統計はありません。
しかしながら、これらの数字は大幅なマージンがとられており軍の医療関係者はベトナム戦争以来、最も多い死傷者であると報告しています。

イラクにおいて戦死した米兵が2004年9月に1000人を超えた時、世界的に注目を浴びました。
一般社会において、殺人率が社会の危険基準と見なされているように、戦死は戦争の規模および危険の基準と見なされています。
しかしながら、この基準の信頼性は低いと言えるでしょう。何故なら単に敵が使用する武器が、兵士の生死をわけるのではなく「医療システム」および兵士の「パーソナル・プロテクション(個人防護)」が重要だからです。
例えば、1960年代中頃以降、米国の殺人発生率は下がりますが銃器による暴行は3倍に増えています。
この銃器による暴行が増えたにもかかわらず殺人発生率が低下したのは、負傷した被害者が高度に発展した外傷医療システムにより助かった為で、死亡率は1964年の16%から現在では5%にまで下がっています。

現在、戦争でも同様の状況です。武器の射撃能力は向上していますが、致命傷は減少しています。戦闘時に死亡したアメリカ人は、第二次世界大戦では30%、ベトナム戦争では24%、イラクとアフガニスタンの戦争では、負傷者のおよそ10%が死亡しています。
今では、以前に比べ、はるかに多くの負傷兵が高度に発展した「医療システム」により助かっています。

また、現代の戦争では、怪我の性質がかわりました。自爆爆弾および地雷、手製爆弾(IED)などによる爆傷が増加しています。これらによる傷は、鋭利な破片、ボルト、その他同種のものが、被害者の体を切り、刺さり、患部を焼いています。傷は小さいものと大きなものと様々で、患部は広範囲に広がり、感染症なども考慮にいれ無数の傷を治癒しなければなりません。

また、外科医は高い発生率で兵士の眼が負傷している事を指摘しています。兵士達は眼を保護する為にゴーグルの着用を指示されていましたが、着用していたゴーグルのプロテクション能力が明らかに低過ぎるのが医師の目かでもわかりました。何人かの兵士は、着用していたゴーグルを「フロリダの高齢者が着用するものに似ている」と表現しています。軍は粗悪な既存ゴーグルから視界の良いバリスティック・アイウェアのWILEY Xに変えました。以来、兵士が眼を負傷する割合が減少しています。

しかし、まだ兵士を守る為の問題は多く存在し、その解決策を軍は打ち出せないままです。
例えば戦争中にケブラー・ベスト(ボディ・アーマー:防護ベスト)は上半身の怪我を防ぐのに劇的に有効であるとわかりましたが、医師は地雷や手製爆弾(IDE)などの破片を撒き散らす爆弾が、ボディ・アーマーの下部から内側に入り込み、上方に伸びる爆傷を兵士が受けてい事を指摘しています。
また、爆風は、骨や血管、神経などを手足の機能を失うような負傷や、手足自体を失う損傷を与えます。
医師は、早急に兵士の手足を守るパーソナル・プロテクションの導入を軍に求めています。

「医療システム」
現代では、通信、輸送、医療が高度に発展しています。人が負傷すると応急処置を受け、様々な通信機器(固定電話、携帯電話、携帯無線など)で救急輸送を要請します。救急輸送では、以前に比べ飛躍的な進歩を遂げた車両や航空機、あるいは船舶で負傷者を医療施設まで運びます。医療施設では、24時間体制で高度に発展した医療を負傷者に提供しています。この一連のプロセスを医療システムと呼び、この内の一つに不備があると負傷者の生存率は下がります。

「パーソナル・プロテクション(個人防護)」
兵士が敵の攻撃から身を守る個人装備品の事で、ヘルメット、ゴーグル、ボディ・アーマーなどが代表的です。現在、爆発物に対するよる手、腕、足のパーソナル・プロテクションが求められています。
例えば、グローブを使用する多くの兵士(軍も同様に)は、「使い易さ」「低コスト」を重視しており、効果的なプロテクションを得られていません。

ソース・インフォメーション(情報元)
米国ブリガム病院、米国ウーマンズ病院、米国保健省、ハーバード大学 公衆衛生科
1. U.S. casualty status. Washington, D.C.: Department of Defense, 2004.
2. Harris AR, Thomas SH, Fisher GA, Hirsch DJ. Murder and medicine: the lethality of criminal assault 1960-1999. Homicide Stud 2002;6:128-66.
3. Principal wars in which the United States participated: U.S. military personnel serving and casualties. Washington, D.C.: Department of Defense, 2004.
4.Whelan TJ Jr. Surgical lessons learned and relearned in Vietnam. Surg Annu 1975;7:1-23.
5.Pear R. U.S. has contingency plans for a draft of medical workers. New York Times. October 19, 2004:A22..
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